概論

筋肉は弱い順に使われる?サイズの原理の意外な仕組み

重いダンベルを持ち上げるとき、筋肉は一気に全力で働いている。
多くの人はそう思いがちですが、実際の体の仕組みは少し違います。

筋肉は「必要な力」に応じて、使う順番が決まっています。
しかもその順番は、意識ではほとんど変えられないとされています。

 

 

この仕組みは**サイズの原理(Size Principle)**と呼ばれ、神経と筋肉の働きを理解するうえで重要な考え方です。
スポーツ科学や筋トレの世界でもよく登場する言葉ですが、意外と誤解も多いテーマでもあります。

 

実はこの原理を知ると、
「なぜ軽い動きから筋肉が働くのか」
「なぜ重い負荷で強い筋肉が動くのか」
といった疑問が自然に見えてきます。


サイズの原理とは何か

筋肉は単独で動いているわけではありません。
脳や脊髄から送られる神経の信号によって動きます。

ここで重要なのが**運動単位(モーターユニット)**です。

 

 

運動単位とは、
「1つの運動神経と、それが支配する筋繊維のグループ」
のことを指します。

筋肉が収縮するときは、この運動単位が順番に動員されます。

 

 

その順番について、1960年代に神経生理学者エルウッド・ヘネマンが提唱したのがサイズの原理です。
この理論では、筋肉を動かす神経は小さいものから大きいものへ順番に動員されるとされています。

 

 

つまり筋肉は

小さくて弱い運動単位

大きくて強い運動単位

という順番で働きます。


なぜ小さい筋肉から動くのか

ここで疑問が生まれます。

「強い筋肉から使えば効率がいいのでは?」
と思う人もいるかもしれません。

 

 

しかし体の仕組みは、エネルギー効率と疲労を考えて設計されていると考えられています。

 

 

小さい運動単位は

  • 発揮できる力は小さい
  • しかし疲れにくい

という特徴があります。

 

 

 

一方で大きな運動単位は

  • 強い力を出せる
  • しかし疲れやすい

という性質があります。

そのため体はまず疲れにくい筋肉を使い、必要になったら強い筋肉を追加する仕組みになっています。

 

 

 

この順序によって、
細かい力の調整や長時間の動作が可能になります。


実は日常動作でも働いている

サイズの原理は、特別な運動だけで働くものではありません。

例えば次のような動きです。

 

コップを持つ
ペンを書く
歩く

 

 

こうした軽い動作では、主に小さな運動単位が使われています。

 

 

一方で

重い荷物を持つ
ジャンプする
ダッシュする

といった動きでは、
必要な力が増えるため大きな運動単位も追加されます。

 

 

筋肉は必要な力に応じて、
「参加する人数」を増やしているイメージに近いでしょう。


よくある誤解:速筋だけを先に使うことはできる?

筋トレの世界では

「速筋だけを使うトレーニング」
という言葉を聞くことがあります。

しかしサイズの原理の観点では、
大きい運動単位だけを先に使うことは基本的にできないとされています。

 

 

力を発揮する際は

小さい運動単位

大きい運動単位

という順番が保たれるためです。

 

 

つまり重い重量を扱うときも、
実際には小さい運動単位も同時に働いています

体は常にこの順序で筋肉を動員し、
滑らかに力を増やしていると考えられています。


運動の上手さにも関係している

サイズの原理は、単に筋肉の強さだけの話ではありません。

運動が上手い人は、
必要な運動単位を適切なタイミングで動員する能力が高いと考えられています。

 

 

例えば

  • 力の出しすぎ
  • 力の出し遅れ

こうしたズレが少ないほど、
動作はスムーズになります。

 

 

筋トレでよく言われる神経適応も、この運動単位の動員が効率化することが一因とされています。

つまり筋肉だけでなく、
神経のコントロールも動きの質を左右しているわけです。

 

 


 

筋肉はただ強くなるだけではなく、必要な順番で働くように設計されています。
サイズの原理を知ると、私たちの体がいかに合理的に動いているかが少し見えてくるかもしれません。

 

ではでは(^ω^)ノシ

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